「ファンドマネージャー」「トレーダー」「ディーラー」の違い。バイサイドとセルサイドのトレーダーの違いについて。
バイサイドのトレーダーと証券会社のトレーダーの違い
簡単に図式化すると、こんな感じです。
アセマネ会社のファンドマネージャーの発注を最初に受ける相手が、社内トレーダー(バイサイド・トレーダー)です。
ファンドマネージャーが、どの銘柄を何株(又は何ベーシス)売買するかを所定の発注票に入力し、社内のトレーダーに送付します。
そのアセマネ(バイサイド)のトレーダーが、証券会社(セルサイド)のトレーダーに対して、発注を執行します。株数や金額、発注方法を確認し、証券会社のトレーダーは取引所に発注を出します。
アセマネのトレーダーは、ファンドマネージャーから指示を受けたら速やかに発注しますが、大きな注文の場合は、株価になるべくインパクトを与えないように株数を分割して発注します。日々の出来高の20〜40%程度を上限としている場合が多いと思います。
ファンドマネージャーは、「決算が1週間後に出るので、それまでに買い切ってほしい」等の指示をする場合もあります。特に指示を出さずに、発注のタイミングはトレーダーに任せる場合もあります。
一方、証券会社のトレーダーは、バイサイドのトレーダーから受けた発注を、市場に流します。この際に、多くの場合、VWAP(出来高加重平均株価)をベンチマークとして、1日の値動きの中でVWAPより有利に売買するよう努めます。
バイサイド側は、VWAPより少しでも安く買えたり、高く売れたりすれば満足し、あまりに負の乖離が大きいと、証券会社のトレーダーに理由を追及したりします。
ディーラーとトレーダーの違い
ディーラーは、顧客資金ではなく、自己資金を使って短期売買を行います。証券会社の自己売買部門がこれに相当します。
尚、ヘッジファンドの中には、日計りや数日での売買を収益の源泉とするタイプも多いですが、彼らがやっていることはファンドマネージャーというより、ディーラーと同じです。
よくドラマや映画では、複数のモニターのチャートを睨んでいるディーラーの姿が映し出されますので、何となく憧れる人もいるのではないでしょうか。
実際によく求人で募集しているのは、カスタマーディーラーやデリバティブディーラーです。
カスタマーディーラーは、一般的に為替のセールス・トレーダーのことをいい、顧客からの注文を受けて流す仕事です。「3年以上の為替セールス」「3年以上のディーラー業務」などの応募要件がある場合があります。
デリバティブディーラーは、オプションを使って収益をあげたり、顧客の資金フローの管理をする仕事で、これも経験者が求められることが多いです。
この手の仕事もビズリーチによく求人があります。
※ビズリーチより。検索時点では求人が存在しない可能性があります。
私自身はディーラーやトレーダーの経験はありませんが、ビズリーチに無料登録して年収を眺めるだけでも、「ああ、あのトレーダーはこれくらい稼いでいるんだな」などと想像でき、参考になります。
ファンドマネージャーは日中は何をしているのか
ファンドマネージャーというと、金融端末と一日中睨み合っているイメージを持つかもしれませんが、実際は日中はアナリストと一緒に企業取材に出たり、セミナーに出ていることが多いです。
(参考:ファンドマネージャーの一日)
外出中も、電車内や待ち時間で株価をチェックできる世の中ですので、社内で座っている必要はありません。「事件は現場で起こっている」のであり、Bloomberg端末に表示される情報が一次情報ではありません。
毎日ドタバタと売買する訳ではないですが、日々のファンド全体のパフォーマンスと個別銘柄の動き、保有銘柄の決算や重要ニュースをチェックし、自分の思い描いていたシナリオとズレが生じていないか判断します。間違っていたり、外部環境が大きく変化したのなら速やかに売却します。
この判断力と実行力の日々の積み重ねが、パフォーマンスの差になってきます。
トレーダーは日中は何をしているのか
一方、トレーダーや、ディーラーは、外に出歩くことはありません。一日中、Bloombergなど端末をにらみながら過ごし、場中はトイレも我慢する場合もあります。