資産運用(アセマネ)、ヘッジファンドの転職体験談。面接攻略。

私が経験した外資系・ヘッジファンドの面接の特徴

外資系、特にヘッジファンドとの面接には、独特の特徴があります。本番でタジタジにならないように、ある程度イメトレしておきましょう。

 

ストックピッチ

ファンドマネージャーへの転職

 

主な特徴として、その場でストックピッチ(短時間での銘柄推奨)をさせられることがあります。相手が外国人の場合、当然英語で話さなければなりません。

 

〜ストックピッチの例〜

 

「6027の弁護士ドットコムを推奨します。この会社は○○をやっている会社です。海外企業でいえば、○○のようなビジネスです。私が推奨する理由は、△△の事業価値が、市場に織り込まれていないと考えるからです。DCFによるアップサイドは、○%あると考えています。□□がカタリストになると思います。」

 

話したいことを全て話すのではなく、ポイントを伝え、相手に質問をさせます。

 

この会社は「いい会社だから買い」ではなく、「市場で織り込まれていない」、「今売られて下がっているが下がりすぎだ」、「セルサイドはこう言っているが、私はこう思う。なぜなら私の調査では・・・」など、自分と市場の見方の「ギャップ」にフォーカスさせる方が効果的です。

 

慌ててティッカーとか、間違えないようにしましょう。私も過去に恥かいたことあります。

 

ある外資系運用会社では、自己紹介や志望動機など抜きに、いきなりファンドマネージャーからロングとショート5つずつアイデアを出してくれ、と言われます。その中から先方が選んだ銘柄について、ディスカッションが始まります。

 

また、ある会社では、今最も自信のある銘柄は何か?と聞かれ、現役ファンドマネージャーからそれについて事細かに質問を受けます。

 

ずるい話ですが、彼らは本当にその銘柄が面白いと思ったら、自分達で本格的に調べて買うのかもしれません。

 

一日がかりで業績予想モデルを作成

また、ある大手外資系運用会社のアナリストの面接は、丸一日かけて行われます。

 

部屋に入ると、パソコンと、資料が山積みになっています。

 

事前に何も知らされていない、ある銘柄の有価証券報告書、セルサイドレポート、株価データ等を使って、数時間でモデルを作成し、今の株価水準で買いか売りか判断するよう指示されます。

 

財務モデルは、DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)モデルが望ましいでしょう。普段HOLTばかりに頼っていて、DCFの作り方を忘れてしまっている人は、練習しておくべきです。

 

その後、ファンドマネージャー、アナリストとディスカッションをすることでアナリストの実力が測られます。相手が外国人の場合は、英語でのディスカッションとなります。

 

推奨内容が論理的説得力があり、オリジナリティがあることが重要な要素となります。セルサイドレポートのパクリはアウトです。

 

 

 

これらは主にアナリストの面接の事例ですが、外資系やヘッジファンドではこのようにその場の銘柄推奨で実力を測られることがよくあります。

 

日系の運用会社でも同じような質問もありますが、そこまで時間を割きません。

 

言うまでもなく、これに対応するには入念な事前準備が必要です。自分の中の最高の投資アイデアを披露する訳ですから、それが通用しないのであれば、入社しても通用しないという訳です。

 

しかし、逆に言うと、アイデア次第で自分を買ってくれるチャンスでもあります。

 

 

外資系のアナリストやファンドマネージャーに転職する場合は、最低限ストックピッチができるよう準備しておきましょう。

 

 

複数回の面接

また、日系では2-3回の面接で済むのに対し、外資系では5回、10回と様々な人と面接することで、人物を複合的に判断されます。その分、期間も長くなりますし、精神的にも疲れます。

 

例えば、キャピタルでは数日かけて15回〜20回の面接が行われるそうです。

 

尚、キャピタルは候補者に求める素養として、5つのCを挙げており、よくまとまっていると思います。

 

5つのC、持ってますか?

 


1. Common sense(常識)
2. Curiosity(好奇心)
3. Caution without being stubborn(頑固ではない慎重さ)
4. Creativity(創造性)
5. Confidence without arrogance(傲慢ではない自信)

(参考「キャピタル 驚異の資産運用会社(チャールズ・エリス著)」)

 

 

複数回の面接の対策は、英語の地力をつけること

ある程度の質問パターンを用意しておくことは重要ですが、15回も面接していたら、さすがに一夜漬けの英語では通用しません。

 

英語のアドリブに不安がある人は、一度、集中的に英語のマンツーマン特訓をやっておくことをおすすめします。

 

一度体に叩き込んだ英語の言い回しは、外資系で働かなくとも、一生の資産になります。

 

 

ヘッジファンドの面接

ヘッジファンドの面接は、多くの場合、最終的には創業オーナートップが直に行います。

 

それなりのヘッジファンドのトップは名のある人なので、事前にどのような人なのか調べておくべきでしょう。

 

前職での仕事経験、退職理由だけでなく、自分の生い立ちから、大学での専攻家族構成など、個人の信用調査も兼ねて、一通り聞かれます。

 

私が受けた会社が特殊だったのかもしれませんが、「親はどんな仕事をしているのか」ということまで聞かれました。日系ではまず聞かれません。

 

「土日は何をやっているのか」も聞かれました。おそらく、土日もマーケットのことを考え、ハードワークできる人かどうか、見られているんだと思います。

 

そこで、ストックピッチが求められることもあります。「普段どうやって銘柄発掘しているのか?」も、当然問われます。

 

「アベノミクスについてどう思う?」「日本株についてどう見ている?」なんかは、普通の会話の範疇です。

 

 

ヘッジファンド特有の「地頭面接」

会社によっては、グーグルやマイクロソフトなどのように地頭を問う面接が実施されることもあります。

 

例えば、

 

「How many mailboxes are there in Tokyo? Show me your process of calculation.」

 

こういう質問がいきなり来ます。

 

このような質問には、実は回答パターンがあります。要は、パターンや英語の言い回しを覚える努力を数時間したかどうかです。

 

フェルミ推定の本を1〜2冊読んで、「英語で言えるように」訓練しておくといいです。

 

 

「最近読んだ投資の本を5冊挙げてくれ。その中で、この本についてどう思ったか?」

 

 

私が面接した際、こういう質問も実際にありました。投資関連の本をいくつか読んでおくべきです。

 

 

もし、このような変則的な質問に対して、一つくらいうまく答えられなくとも、そこで落ち込むことはありません。完璧に答えられる人はいないでしょう。

 

 

相手も、「過去の運用・推奨実績は良いか」、「英語で必要なことをコミュニケーションできるのか」、「自分で考える力があるか」、「嘘をつかない奴か」、「価値観を共有できるか」ということの方が大事だとわかっています。

 

 

どのような面接が実施されるかは、会社ごとに異なりますが、同じ会社ならパターンは毎回似ています。担当の転職エージェントが過去の応募者の話から知っていることがあるので、必ず確認しておきましょう。

 

 

尚、ヘッジファンドの転職のチャンスをつかむには、独立系ヘッドハンターのポータルサイトであるビズリーチへの登録は、もはや必須だと思います。私もビズリーチ内のヘッドハンターを通じて転職しました。

 

(参考:資産運用会社、ヘッジファンドへの転職で私が使った転職エージェント

 

ヘッジファンドの面接対策の実践本

ヘッジファンドの面接対策の本など、日本には存在しません。経験者そのものが少なすぎるからです。

 

一方、米国ではいくつかそのような本があります。英語ですが、私も苦労して読みました。

 

Vault Career Guide To Hedge Fundsはヘッジファンドに就職したい人に向けた解説書です。

 

参考までに、この本のChapter15に書かれている面接の想定質問集を掲載します。
主に新卒者向けの質問ですので、中途採用者はストックピッチなど、より実践的な内容になります。

 

 

1. 履歴書を簡単に説明してほしい。


2. なぜ我々と働きたいのか。

3. 弊社のどんな所に関心を持ったのか。

4. あなたの強みは何か。

5. 弱みは何か。

6. どのようなスキルを活かせるのか。

7. なぜこの仕事で成功できると思っているのか。

8. 他の競争相手ができない、どのようなことができるのか。

9. この業界のどのような点に関心を持っているのか。

10. 逆にこの業界の最も魅力が低い点は、どのようなことか。

11. なぜこの仕事なのか。

12. この仕事にとって、どのような資質が重要だと思うか。

13. この仕事に、何を求めているのか。

14. あなたにとって、仕事で最も重要なことは何か。

15. 弊社の売上、生産性、顧客基盤を拡大させるのに、何ができるのか。

16. なぜ我々はあなたを採用すべきと言えるのか。

 

 

などです。最低限、全て英語で答えられるようにしておきましょう。

 

他にも質問例が合計53あります。さらに、ヘッジファンドとミューチュアルファンドの違いとは?VARとは何か?など基本的なQ&Aが数多く英文で記載されています。

 

ヘッジファンド専門の英文履歴書が多数掲載している「Hedge Me」

また、より専門的な内容としては、HEDGE MEもヘッジファンドへの転職の、数少ないガイド書です。

 

著者のClaude Schwab氏は、米国のヘッジファンドのリクルーティング会社のGlocap Searchのトップを務めた人ですので、実際にどんな人が採用されているか、数多く見てきた方です。

 

本の中には、「バイサイドとセルサイド」「ヘッジファンドの戦略」などヘッジファンドの基本的な記載もありますが、「インタビューの形式」「米国全土にどのようなヘッジファンドリクルーターがあるか」「ヘッジファンドアナリスト、PMの給与例」など、実践的な内容が記載されています。

 

特に、レジュメの例が豊富で、「ロングショートのアナリスト」「マルチストラテジーファンドのアナリスト」「グローバルマクロのジュニアトレーダー」などそれぞれのレジュメが数多く掲載されていますので、一読をお勧めします。

 

(英文レジュメの例)
外資アセマネレジュメ

 

外資、ヘッジファンドの面接対策まとめ

以下の5つがまとめです。

 

1. ストックピッチを英語で準備する

 

2. 日系でよく聞かれる「志望動機」「前職経験」だけでなく、自分の生い立ちや、大学の専攻家族最近の経済トピックのことまで、たどたどしくてもいいので、英語で話せるようにする。

 

3. ヘッジファンドでよくある質問や、ヘッジファンドの英文履歴書の事例としてVault Career Guide To Hedge FundsHEDGE MEなどの本を参考にする。

 

4. 地頭を問う質問への対策として、フェルミ推定の本を読んでおく。

 

5. 複数会の面接に備えて、英語のアドリブ力を短期間で一気に高める。評判の良い短期集中型のマンツーマンレッスンを一度集中的に行い、正しい英語の言い回しを叩きこむ。

 

 


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