ファンドマネージャーの辛いこと
相場は、常に合理的には動かないが、それでも結果が全て

最も辛い時は、当然ですが、パフォーマンスが良くない時です。
パフォーマンスが良くないと言っても、それが一時的なものなのか、プロセスや考え方に起因しているものなのか、短期的には判断できません。
株価は長い目では合理的な価格に収斂されると皆が信じることで成り立っていますが、短期的にはそうなるとは限りません。
それでも自分のパフォーマンスの評価は、その株価を元に行われます。自分が正しかったとわかるのが、もう少し先になることもあり、その時には自分はクビになっているかもしれません。
そのような理不尽も含めて、自分の結果として受け止めなければならないのは、辛いところです。
人の役に立っている実感はあまりない
ファンドの運用は、知的好奇心、競争心が必要な、間違いなく面白い仕事だと思います。
そして、最終的には多くの人の老後の年金を増やしたり、投信を通じて貯蓄を増やすことで、人の役に立っていることも間違いありません。
しかし、それを日々実感できるかというと、通常はそんなことはありません。(ひふみ投信などの一部の投信で、個人顧客一人一人と直に話をする機会があるなら別ですが)
昔、学生との面接で、「ファンドマネージャーという仕事で、誰かに心から感謝される実感を持てますか?」と聞かれ、答えに窮したことがあります。
この仕事をしていても、医者と違って、涙ながらに感謝されるような経験は、残念ながらありません。
誰かを助けるというより、必死で他人に勝つ、まだ誰も気付いていない企業の価値を地道に探す仕事です。
例えば、テレビで医者が瀕死の患者を助ける感動的なシーンで、「お医者さんって素晴らしい」と思うと同時に、使われている医療器具のメーカー名を確認しようとする人達です。
このサイトをご覧になっている人の多くは、そのような事は承知だと思いますが、それが価値観に合わないなら、向いていないのかもしれません。
余談ですが、成功したヘッジファンドの創業者が、よく慈善事業に投資をするのも、もしかしたらそのような心理の反動なのかもしれません。