三井住友アセット(SMAM)と大和住銀投信投資顧問が合併。リストラはあるのか?
公募投信の残高では、7位と9位の合併により、業界6位になります(出所:投資信託協会)。
三井住友FGが過半出資して連結子会社化し、大和は持分法適用会社となるよう出資を行うようです。
三井住友アセットマネジメント(SMAM)とは?
三井住友アセットマネジメントは、2002年に「三井生命グローバルアセットマネジメント」、「さくら投信投資顧問」、「三井住友海上アセットマネジメント」、「スミセイグローバル投信」、「住友ライフ・インベストメント」の5社が合併して誕生しました。
その後、2013年にトヨタアセットマネジメントも統合されました。現時点では、三井住友銀行60%、住友生命20%、三井住友海上火災保険20%の出資比率となっています。
成り立ちが寄せ集めのため、中途採用者が多く、社内でもチームごとに縦割りで競い合っており、運用会社としての投資哲学は感じられない一方、1人1人のプロ意識は高くて優秀な人が多い、というのが個人的な印象です。
大和住銀投信投資顧問とは?
一方、大和住銀投信は、1999年に「大和投資顧問」、「住銀投資顧問」、大和系の「エス・ビー・アイ・エム投信」が合併して誕生しました。
一般に、日本の金融機関では最初は営業など他部署を2-3年経験させてから、運用部門に配属されるケースが多いのですが、大和住銀では新卒からファンドマネージャー見習いになるケースもあると聞いたことがあります。運用スタイルとしては、どちらかというと、渋いバリュー株に強いというイメージがあります。
「ずば抜けた結果の投資のプロだけが気づいていること 「すごい会社」の見つけ方」という本を出された苦瓜達郎(にがうり たつろう)氏は、大和住銀の現役ファンドマネージャーです。
合併後のリストラはあるのか?
一般的には、資産運用会社が統合された場合、給与の高いファンドマネージャー、アナリストなどの重複するポジションを1つにし、余った人材は他の部署に異動させることで給与を下げ、全体のコストを引き下げることがあります。
このような統合シナジーにより、収益性を高められるのが資産運用会社のビジネスの特徴です。
その際に、異動が受け入れられない場合は、転職を検討する人もいるでしょう。
ただし、これは世界的な一般論であって、実際には日本で運用会社の統合後のリストラは、それほど大きなものではないようです。
2016年10月にみずほ系運用会社4社が統合したアセットマネジメントONEの事例をみてみます。
合併前 (4社合計。2016年3月) |
合併後 (2017年3月) |
増減 |
|
---|---|---|---|
役職員数 | 1,064人 |
993人 |
▲71人 |
運用業務従事者数 | 282人 |
308人 |
+26人 |
ファンドマネージャー数 | 185人 |
196人 |
+11人 |
アナリスト(調査スタッフ)数 | 72人 |
68人 |
▲4人 |
(出所:投資運用会社要覧より作成)
このように、合併から約1年経過し、全体の役職員は若干減少していますが、ファンドマネージャーは増加、アナリストは微減に留まっており、フロント人員の雇用は維持されているように見えます。
勿論、個々の企業の方針により、全てが決まります。
大型合併後は、転職市場が買い手有利になりやすい
転職エージェントによると、こういった大型合併の後は、必ず転職希望者が増えるそうです。
ヘッドハンターにとってもチャンスであり、優秀な人材が溢れてこないか、ウォッチしているようです。
つまり、いずれ転職市場での競争が激しくなります。
優秀なヘッドハンターと出会うためのポータル的なサイトであるビズリーチでは、ファンドマネージャー、アナリスト、クライアントサービス、ミドル・バックオフィスの人材募集が掲載されています。
私自身も利用しましたし、金融業界の転職の際には、もはや必須だと思います。
出所:ビズリーチ
(※2018年5月時点の求人情報ですので、現時点で掲載されているとは限らないことをご了承下さい)
国内系運用会社の場合、じっくり統合後の状況を見極めてからでも遅くないと思いますが、いま自分が転職したときの年収水準(自分の価値)について確認し、転職市場に人が増える前に、早めに準備だけしておいて損はないと思います。