ファンドマネージャーとアナリストの違い

ファンドマネージャーとアナリストの違い

ファンドマネージャーは、どの銘柄を、いつ、どれくらいの株数(ウェイト)売買するのか判断し、出来上がったポートフォリオのバランス、ベータ、リスク等を把握し、運用パフォーマンスの責任を持ちます。

 

ファンドマネージャーは、自分で銘柄を発掘することもありますし、アナリストの推奨も参考にしますが、最終的な売買、ウェイト、タイミングの判断は、ファンドマネージャーの職務領域となります。

 

従って、必ずしもアナリストが推奨した銘柄をそのタイミングで買うわけではありませんので、アナリストの推奨の巧拙については、別途計測されることも多いです。

 

ファンドマネージャーへの転職

 

ウェイトをどれくらいにするのかについては、アクティブファンドの場合はファンドマネージャーの自信の度合い等の感覚に委ねられている場合が多いと思います。

 

しかし、「なぜこの銘柄を選ぶのか」についてと同じくらい、「なぜ1%ではなく3%オーバーウェイトにするのか」についても、本来は定量的に説明できないといけません。

 

 

取材活動における視点の違い

アナリストは、担当セクターの企業に直接取材をします。勿論ファンドマネージャーも、自ら取材しますが、その頻度や視点は若干異なります。

 

アナリストもファンドマネージャーも、普通は証券アナリスト資格(CMA)を保有しています。アセマネ、銀行、証券、保険では、若手は義務付けられている会社も多いです。

 

(参考:証券アナリスト資格は転職する際や大学生にメリットあるか?アナリスト経験者が難易度、年収、仕事を解説

 

アナリストは、企業の業績予想モデルを作りますので、細かい数字の内訳ヒストリカルのデータを企業に尋ねることが多いです。

 

アナリストは、同じ会社に何年も取材するので、IR担当者や経営者と顔なじみになることもあります。インサイダー情報といったものではなく、バイサイドアナリストと企業側が個人的な懇親会を開くこともあります。

 

しかし、木を見て森を見ず、といいますか、何年も同じ企業を見て、数字を細かく確認していても、上昇相場に乗り遅れることがあります。

 

アナリストは、誰しも失敗の経験がありますので、今回の企業の良い兆しもまた一時的なことではないか、と慎重に見てしまうことがあります。努力して細かく調べているが故に、会社のリスク要因も沢山見えてきます。また、他のセクターと比較した相対感覚が無いと、なぜ上がっているか理解できないこともあります。

 

ファンドマネージャーへの転職

 

一方、ファンドマネージャーは、企業取材において、数値の確認もしますが、経営戦略、競争環境、株主還元等、大まかなポイントを掴むために質問することが多いです。

 

他のセクターの状況も把握しているため、多少の固有リスクがあったとしても、そのセクターが相対的に良好なファンダメンタルズで、出遅れ感があると思えば買うこともあります。

 

また、ファンドマネージャーは、自ら取材しなくとも、アナリストの取材内容を元に売買判断ができなければなりません。自分で全て見ないと気が済まないのなら、アナリストを上手く活用できているとは言えません。

 

難しいのは、個々の企業からの情報には、楽観・悲観バイアスがかかっており、さらにそれを分析するアナリストも、個人の性格により、楽観・悲観バイアスがかかっている場合がある、ということです。楽観的で強気な予想を鵜呑みにしないことも大事ですが、保守的過ぎてチャンスを逃しても意味がありません。

 

また、ファンドマネージャーとして、後から相場を振り返って、自分自身のクセも客観的に知っておく必要もあります。

 

 

顧客説明

ファンドマネージャーは、顧客である資金の出し手に対して定期的に運用報告を行います。「パフォーマンスが良ければ何も問題ないでしょ?」という訳にはいきません。

 

企業が、「利益が伸びていれば問題ないでしょ?」と、事業モデルを説明しなければ投資家に信頼されません。それと同様に、ファンドマネージャーはそのパフォーマンスを生み出すプロセスの再現性、継続性について説明しなければなりません。

 

同じパフォーマンスでも、説明力の高いファンドマネージャーと、そうでないファンドマネージャーでは、自ずと顧客満足度は異なります。特にパフォーマンスが悪かったときは、その差が資金の解約につながることもあります。ファンドマネジャーはサービス業ですので、稼げば良いのではなく、なぜ上手くいったのか、上手くいかなかったのか、今後どう考えているのかを、顧客に説明できないといけません。説明力のあるファンドマネージャーの方が息が長いのです。

 

バイサイドアナリストも、年金顧客等の要望に応じて顧客の前で銘柄の説明を行うこともありますが、基本的にはファンドマネージャーが対外的な顔としての役割を求められます。特に、海外の運用会社では、ファンドマネージャーの経歴、学歴、資格等を顔写真付きで掲載するのが通常です。

 

他のセクターへのアイデア波及

また、ある銘柄の話を聞いて、違うセクターへのアイデアを思いめぐらせる知恵の幅もファンドマネージャーには必要だと思います。

 

ファンドマネージャーへの転職

 

その際は、知識量も大事ですが、思いめぐらせてすぐに調べる瞬発力実行力の方がより大事です。

 

ファンドマネージャーには知識が豊富な人は沢山います。しかし、あるアイデアを本気になって調べて、確信をもって大きなポジションをとる人は、それほど多くないように思います。

 

優れたパフォーンマンスというのは、必ずしも誰も思いつかないようなアイデアから生まれるとは限りません。

 

そんなの前から知っていたよ」と言われるようなアイデアが、圧倒的なパフォーマンスに結び付くことも多いのです。

 

その差は、平凡と思えるアイデアを深く調べて、確信をもって、速やかに、大きく投資をしたかどうかだと思います。

 

 


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