ファンドマネージャーの1日

ファンドマネージャーの一日

学生にファンドマネージャーの1日について聞かれることがあります。

 

人によっても会社によっても異なるため、一概には言えませんが、例えば日本株のファンドマネージャーの場合は以下のような一日です。

 

 

 

【6:00】起床
スマホで証券会社からのメール、Bloomberg、ロイター等のニュースを見て昨日の欧米市場とCME、ADR、為替等を確認。テレ東のモーニングサテライトを見る人も多い。

 

【7:45】出社
社内端末のBloomberg、QUICKのニュースを読む。FTや業界紙の見出しを読む。大量に送られてくる証券会社からのメールのタイトルを見て、必要なものだけ読む。昨日のファンドパフォーマンス、個別銘柄寄与度の上位下位を確認。

 

ファンドマネージャーへの転職

 

 

【8:15】朝会
昨日の相場動向を振り返った後、各アナリストが前日の取材内容や、決算、重要ニュースに対するコメントを報告。決算発表シーズンは会議が長びく。

 

【9:00】相場開始
保有銘柄の寄付き動向を確認。大きな動きがあれば、アナリストにヒアリング。

 

【10:00〜11:00】セルサイドアナリストとミーティング
セルサイドアナリストとは会わないというファンドマネージャーもいます。社内のアナリストと同席する形もあります。

 

【11:30〜12:30】証券会社主催のランチミーティングに出席
証券会社は様々な旬のテーマを取り上げ、専門家やアナリストによるランチ付きのミーティングを実施しています。尚、中には昼食だけ食べに来ているような人もおり、同じ内容でも夕方のミーティングだと出席者がかなり減ります。

 

【14:00〜15:00】企業取材
アナリストの取材に同行することがあれば、ファンドマネージャー単独で取材することもあります。特に中小型株の場合は、ファンドマネージャーが1人でアナリストも兼ねてやることが多いです。中小型企業の場合は経営者に会える頻度も多く、経営者の考えが会社の方向性に直結しやすいため、直接訪問は重要です。

 

ファンドマネージャーへの転職

 

企業取材の前日までに、可能な限り下調べをします。この深堀度合いによって、相手から聞き出せる情報も異なってきます。

 

企業側も、相手を見ています。ここまで調べているのか、という相手には、そのレベルに応じた話をします。

 

競合他社の動向、海外企業の動向など、こちらの話に対して、真剣にメモをとる場合もあります。

 

学生の就職活動なら「御社の強みは何ですか?」という漠然とした質問でいいのですが、ファンドマネージャーやアナリストは、より具体的な「競合製品との性能差」、「単価」、「マージン」、「シェアの動向」、「販売チャネル」、「生産キャパシティ」、「歩留まり」、「稼働率」、「原材料価格の動向」などを聞いて、競合他社や顧客企業にもヒアリングし、企業の強みについては自分で判断します。

 

取材のメモは、各人のノートやPCに残すだけの場合もありますし、社内のシステムやエクセルに入力し共有して蓄積する場合もあります。
外資系運用会社では個人で管理し、日系では蓄積して共有する傾向があるように思いますが、会社の方針によります。

 

【16:00〜17:00】決算説明会

ファンドマネージャーへの転職
(前田建設 2010年3月期決算説明会より)

 

保有先や関心のある企業の決算説明会に出席。説明会は、大企業なら企業本社、中小企業なら大手町、茅場町界隈のカンファレンスホールで行われることが多いです。

 

今は資料や動画を自社サイトに掲載している企業も増えており、説明会に出席することの機関投資家のアドバンテージはほとんどありません。
しかし、特に中小企業では説明会でしか資料を配布していない会社もありますし、Q&Aについては公開していない企業もあります。

 

私も説明会で質問をしたことがありますが、ほとんどの説明会ではセルサイドアナリストのみ、たまに一部のバイサイドが質問するだけです。

 

説明会の良いところは、その1時間及び往復の移動時間は、その企業のことだけ集中的に考える時間が強制的に与えられること、だと考えています。
従って、説明会資料だけでなく短信を読んで、できるだけ深く考えます。

 

経験上、説明会に行ってみたら20人くらいしかいなかった時の方が、投資妙味があることが多いです。説明会で何百人もいると、そこに大きなアルファはないのかもしれません。

 

【夕方】帰社
取材した銘柄が良いと思えば、ファンドマネージャーはすぐに買入の判断をします。アナリストが業績予想を作って、目標株価を設定して、チームで議論をした上で買入に至る場合もあり、この辺のプロセスは運用会社によって異なります。

 

売買したい個別銘柄のウェイトや、株数、必要な情報を所定の発注シートに入力して、社内トレーダーに送付します。

 

【19:00】退社
勿論、退社時間は、会社の状況、個人の状況、時期によって異なります。説明会の後、そのまま直帰することもあります。

 

 

それ以外にも、顧客回り、プレゼン資料の作成、月次報告資料の作成、リスク管理会議等、様々な業務があります。
また、毎日外出している訳ではなく、社内で考える時間も多いです。

 


トップページ 実際の仕事内容 おすすめの転職エージェント 外資の面接 主要な運用会社の特徴